鋼の断続加工のnewスタンダード Walter Tiger-tec® Gold
イントロダクション
工具性能の高さで定評のあるワルターツールズから、新製品の旋削加工用のタイガーテック®ゴールドがリリースされました。
このワルターの新材質は、鋼加工において、靭性と耐摩耗性能を同時に向上させることを目的として開発されたコーティング材質です。
今回、テクニカルセンターでは靭性と耐摩耗性能が同時に求められる強断続加工+連続加工で
他社製品2種類に加え、問題解決が必要とされる加工で広く採用されているワルターの従来品も合わせてテストを実施してみました。
この記事のまとめ動画
タイガーテック®ゴールドについて -コーティングのご説明
最外層:逃げ面の摩耗状況を確認しやすい(現場や刃具管理では結構重要です) 金色のTiN層
Al²O³層:稠密な微細柱形状により 耐逃げ面摩耗+耐クレーター摩耗が向上
MT-TiCN:稠密で複層構造 弾性・靭性に優れた性質
コーティング後の表面処理
複数回の表面処理を経ることで、工具が持ちうる最高の性能を引き出します。
比較テスト
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使用設備
Mazak QT-compact200MY -
Φ80丸材ワーク:材質 SCM435
強断続+連続加工
比較工具は4種類
海外A製品:コストメリットに優れた製品
国内B製品:優れた性能により、国内市場でトップクラスのシェアの製品
ワルター WPP30S:従来より鋼ワークの問題解決に貢献してきたタイガーテック®シルバー
ワルター WPP30G:新製品 タイガーテック®ゴールド
いずれも WNMG080412 刃先強度重視ブレーカー P30相当材質 を選定。 加工条件的にも強断続加工で耐えうる工具達を代表で選定しました。
耐久テスト結果
加工条件:Vc=150m/min f=0.3mm/rev. ap=3mm
海外A製品が29パス目で欠損。
国内B製品が61パス目で欠損。
ワルター タイガーテック®シルバーのWPP30Sが71パス目で欠損。
→タイガーテック®ゴールドはまだまだ加工できそうな損傷に留まりました。
まとめ
旋削加工のコーティング材質の新技術に関しては、工具の刃先形状や開発コンセプトによる狙いと違い、
CVD・PVDによる区分はもちろん、コーティング被膜の種類や膜厚の厚さなどの情報を得ても、
ひとまずテストを実施してみるまでは加工環境やワーク材質にマッチしているかどうか分からないことが多いと感じられる方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介したタイガーテック® ゴールドは元々がミーリング工具の新材質ですので、
究極の断続加工であるフライス材質からの横展開材質であることをイメージして頂ければ、活用の方向性が見えてくる製品かと思います。
以上、ここまでご覧いただき ありがとうございました。